特許と実用新案の違いは保護対象、審査の有無、権利期間等が大きく異なります。

特許・実用新案とは?

特許・実用新案制度は、発明(考案)者には一定期間、一定の条件のもとに特許権(実用新案権)という独占的な権利を与えて発明(考案)の保護を図る一方、その発明(考案)を公開して利用を図ることにより新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようとする点においては共通です。

権利存続期間

特許は出願から原則20年、実用新案は出願から10年です。(平成17年4月1日以降出願)

保護対象

特許では原則としてあらゆる物および方法が対象です。すなわち、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを保護の対象とします。したがって、金融保険制度・課税方法などの人為的な取り決めや計算方法・暗号など自然法則の利用がないものは保護の対象とはなりません。また、技術的思想の創作ですから、発見そのもの(例えば、ニュートンの万有引力の法則の発見)は保護の対象とはなりません。さらに、この創作は高度のものである必要があり、技術水準の低い創作は保護されません。
実用新案では物品の形状、構造、組合せが対象となり方法は除外されます。また、特許法の保護対象とは異なり、技術的思想の創作のうち高度のものであることを必要としません。

権利化手続き

特許では出願日から7年以内(平成13年10月以降の出願については出願日から3年以内)に審査請求を行い、審査により特許性ありと判断されて初めて権利化されますので、期間内に審査請求を行わないと取下げたものとみなされます。
 実用新案では原則無審査ですので早期に登録されますが、権利乱用を防ぐ目的から権利行使には特許庁からの技術評価書を相手方に提示する義務があります。

料金

特許と比較して実用新案の各年分年金は低廉になっております。

個人(自社)による書面出願の場合、出願時には特許印紙代と電子化手数料がかかります。
(→パソコン出願は「共通事項」のQ2参照)
書類作成様式が決まっておりますので、各発明協会でお聞きいただくか(社)発明推進協会発行の特許庁手続き関係の書籍案内等をご参照ください。

※特許印紙は各地域の郵便局本局等で取り扱いがあります。
※電子化手数料:1,200円+書類枚数(図面は除く)×700円の振込用紙が送られてきます。

特許の料金

(※2004/4/1出願分から新料金になりました。)

①出願料
2004/04/01以降の出願 16,000円
2004/03/31までの出願 21,000円

②審査請求料
2004/04/01以降の出願  168,600円+4,000円×請求項数
2004/03/31までの出願  84,300円+2,000円×請求項数

③登録料(3年分一括)
2004/04/01 以降の審査請求による特許料( 2,600円+ 200円×請求項数)×3
2004/03/31までの 審査請求による特許料(1,3000円+1,100円×請求項数)×3

第4年以降も特許維持年金の納付が必要となります。詳細は特許庁HPをご覧ください。

特許存続期間は原則出願日から最長20年
(医薬/農薬は、厚生労働省/農林水産省の承認申請中に実施できなかった期間として最長5年の延長制度あり)。

実用新案の料金

(※2005/4/1出願分から新料金になりました。)

2005/04/01以降の出願
①出願料+3年分登録料
14,000円+(2,100円+請求項数×100円)×3

②登録料(4年目~6年目/各年)
(6,100円+請求項数×300円)

③登録料(7年目~10年目/各年)
(18,100円+請求項数×900円)、実用新案存続期間は出願日から最長10年。

2005/03/31までの出願
①出願料+3年分登録料
14,000円+(7,600+請求項数×700)×3

②登録料(4年目以降各年)
(15,100円+請求項数×1,400円)、実用新案存続期間は出願日から最長6年。

※実用新案権を権利行使時に提示必要な技術評価請求料:42,000+請求項数×1,000円

ビジネスモデル特許とは?

ビジネスモデル特許とは一般的に、コンピュータネットワーク等を用いたビジネスの手法に関する特許を指し、既存の業務処理を省力化しただけものや、コンピュータネットワーク(ハードウェア資源)を介さないビジネス手法は対象外と解されます。

ビジネスモデルの特許権を取得するには?

ビジネスモデルの特許権を取得するには、IT技術またはビジネス手法のいずれか一方または双方が特許登録要件を満たす必要があります。そこで、特許登録要件を満たすかどうかの検討を、IT技術とビジネス手法の各々について行う必要があります。ビジネスモデル発明においては、関連するデータを処理して有用な出力をするソフトウェア完成品に対して特許が付与されますので、斬新なビジネス手法であっても、単なる発想や着想に止まる段階では特許権を取得できません。

また、公知の商売の仕方を通常の手法でコンピュータ化して省力化しただけのもの等は、新規性あるいは進歩性が無いとして拒絶されることになります。公知の商売の仕方に関して特許を取るには、その商売の仕方をインターネット等に適用するに当たり、一定の工夫をした場合に限られます。

さらに、発明の詳細な説明においては「特許請求の範囲」に対応した具体的なフローチャート等で記載して、ソフトウェアを用いてどのように処理したか(how to)を説明していない場合、発明が成立していないと判断されビジネスモデル特許を受けることができません。

 なお、特許出願は登録公報が発行されるか、または出願から原則1年6月経過後に発行される公開公報により開示されますので、調査時点で未開示の先行出願が存在することがあります。

発明は特許の対象であり、著作権の対象外と解されます。

著作権の保護対象たる著作物とは、知的活動により創造された思想・感情(技術的 思想をも含める場合も可能)を表したものであって、その思想・感情そのものではありません。
したがって、ある発明思想を文書(紙や電子情報)に表したものを著作権として保 護される場合がありますがあくまで表現形態としてのその文書自体が保護されるので あって、そこに表現形態から汲み取れる思想や感情が保護されるものではないことに 注意する必要があります。
つまり、著作権法の保護内容は、その表現されたもの自体の複製、演奏、譲渡、公 衆送信等を制限することです。

具体例で申し上げますと、コンピュータにある一定の仕事をさせるためのアプリ ケーションソフトは、その作業仕様のアルゴリズム(手順)が特許の対象となりま す。そのアルゴリズムをある言語Aで表したプログラムは、著作権の対象となります。

この場合、この言語Aで表したプログラムを無断で複製や頒布などをすると著作権 の侵害となりますが、同じ仕様のものを他の言語Bで表したプログラムは別の著作権 として成立し、上記言語Aのプログラムの著作権を侵害するものではありません。

一方、このアルゴリズム(手順)について特許権を取得している場合には、言語の 如何に関わらず同じアルゴリズム(手順)である限り特許権の侵害となります。

なお、発明と著作物との関係は、文化庁のホームページにおいて詳しく解説しておりますので、そちらをご参照ください。

ところで、民間業者が「知的所有権(著作権)登録」なる欺罔行為(一種の詐欺行為)を行っていますが、上記したように特許の対象となる技術的思想を文書(書面)に表して著作権登録(著作権は登録しなくても発生する。)をしても、その技術的思想そのものが保護されたことにはなりませんのでご注意ください。

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水野特許商標事務所では、知的財産に関わるあらゆる業務を行なっております。小規模特許事務所という特性を活かし、小回りがきき、親身になってご相談を承る「知的財産戦略の専門サービス」を提供しております。福島県郡山市に事務所を構え、地元企業の知財部として皆様のお役に立てるよう、日々研鑽して参ります。